生きることをあきらめない

癌(がん)の種類

癌=がん とは悪性腫瘍のことです。

良性腫瘍と悪性腫瘍

一般的にがんと呼ばれている病気は、 医学的には悪性腫瘍または悪性新生物と呼ばれています。 腫瘍とは腫れ物の意で、悪性だけでなく良性の腫瘍もあるのです。
いぼやポリープも腫瘍の一種ですが、 これらはある程度増殖しても、 転移も浸潤も無く、 他の臓器への影響も無いものです。 このように、生死に係わる危険が無い腫瘍を良性腫瘍と呼びます。
深刻な病気であるがんは悪性の腫瘍です。

悪性腫瘍(がん)の組織型による分類

悪性腫瘍は発生する細胞の種類によって、がん腫と肉腫に分けられます。

がん腫

消化器系や呼吸器粘膜、肝臓、腎臓などの臓器を構成する上皮細胞から発生する悪性腫瘍です。 がん腫はさらに組織の型のちがいから扁平上皮がん、腺(上皮)がん、未分化がんの3つに分けられます。

〈扁平上皮がん〉

皮膚、食道、肺、子宮頸部、膣、外陰、陰茎などに発生し、 リンパ管や血液を経て他の臓器に転移します。

〈腺(上皮)がん〉

消化管、肺、子宮体部、乳房、卵巣、前立腺、甲状腺、肝臓、腎臓、膵臓、胆嚢などに発生します。

〈未分化がん〉

がんだとわかってはいるが、扁平上皮がんか腺がんかははっきりしないものをいいます。 どの臓器にも発生し、特に発生しやすい臓器は決まっていません。

がんは発生する臓器・部位によって、乳がん、胃がん、食道がん、肺がん、などと呼ばれていますが、 発生した細胞の種類から分類すると、胃がんは腺上皮がん、食道がんは扁平上皮がんであり、 膵がんには扁平上皮がんと腺上皮がん、未分化がんがあります。
扁平上皮がん、腺がん、未分化がんはそれぞれ異なった性質があり、それぞれ治療法も異なります。 例えば、肺の扁平上皮がんと腺がんは比較的ゆっくりと進行しますが、 化学療法や放射線療法が効きにくいという性質を持っています。 しかし、同じ肺がんでも未分化がんの場合は、 化学療法や放射線療法が著効とも言える効果を発揮します。
このようにがんは発生部位が同じでも治療法が異なり、 がんの種類や性質を見極めて、個々人のがんを見極めて治療にあたることが不可欠なのです。

肉腫

がん細胞が上皮細胞以外の細胞に発生する悪性腫瘍です。
胃や腸の筋肉を構成している筋細胞や、 骨、結合織(組織と組織を貼り合せる組織)、 脈管組織、神経などを構成する線維細胞に発生します。 リンパ球にがん細胞が発生する悪性リンパ腫や 血液にがん細胞が発生する白血病などもこの肉腫の一種ですが、 これらは血液の悪性腫瘍と呼ばれています。

多重がん

がんは、初期段階では特定の一つの臓器に発見されることが多いものの、 中には同時に二つ以上の臓器に発生していることもあります。 殆どの場合は最初に発生したがん細胞の転移が原因なのですが、 転移と無関係に複数のがんが発生している場合があります。 また、一つの臓器のがんが治っても、新しい臓器にがんが発生する場合があり、 このようながんを多重がんと呼んでいます。

多重がんの中で転移がんではなく、 一つのがんが治療中、あるいは治療後に新しいがんができた場合は、 これを二次がん(第2がん)と呼んでいます。 近年、多重がんは増える傾向にあり、がん患者の約6%も存在すると報告されています。 多重がんは、乳がん、喉頭がん、咽頭がん、胃がんなど、 がんにしては比較的治癒が用意であるとされているがんに多いので、注意が必要です。