生きることをあきらめない

癌(がん)の特徴

癌=がん とは悪性腫瘍のことです。

体の一部の細胞がDNAの複製に失敗することで突然変異を起こし、 無秩序に増殖を始め、塊となったものを腫瘍(腫れもの)と言います。 この腫瘍の中でも、増殖して大きくなることで周囲の臓器を圧迫して害を及ぼしたり、 正常細胞や隣接する臓器を浸潤したりする害のある悪性の腫瘍が、「がん」と呼ばれる病気です。

初期症状がはっきりしない

がんは症状の出にくい病気です。 他の病気では、発熱、痛みなどの症状が現われることで、 自覚症状として病気に気付くことも多く 初期の段かで自己診断できます。 しかし、がんの場合には発生初期ではもちろん、 かなりがんが悪化した状態にまで進んでも、 はっきりした症状が現れてこないことが多いのです。 症状が現れたときは既に手遅れの末期がん状態であることも珍しくありません。 がんの発見は自己診断に頼ることができず、 医療機関での定期診断や健康診断に頼るしかないのです。

がんの細胞は増殖しつづける

正常な細胞は古くなったものは死んで(アポトーシス)、 はがれ落ち(落剥)、 替わりに新しい細胞ができるというサイクル、つまり「新陳代謝」が繰り返されます。 しかし、がん細胞はDNAに異常を持つ狂った細胞です。 がん細胞には寿命が無く、栄養がある限りどんどん増え続け、大きくなっていくのです。
人の体はおよそ60兆個の細胞から構成されており、 これらの細胞個々が役割を果たしながら、秩序を保ち、死亡・再生を繰り返しています。 ところが、いろいろな発がん物質やストレスが原因となることで、 正常細胞が突然がん細胞に変わってしまうのです。 実は正常細胞の中には、がん遺伝子やがん抑制遺伝子と呼ばれる遺伝子が潜んでおり、 この遺伝子が発がん物質によって傷付けられると、正常細胞ががん細胞化することが判明しました。 実際にはがん遺伝子やがん抑制遺伝子が傷ついて正常細胞ががん細胞になった後に、 複雑な過程を経て、何年もかけて増殖することで、 がん細胞が数を増して塊となった「がん」となって発病するに至ります。

がんの浸潤

がん細胞は正常な細胞よりも生命力が強靭で、大量の栄養と酸素を消費します。 そのため血液が正常細胞へ運んできた栄養や酸素を横取りして、 周囲の正常細胞を弱らせ、破壊させてしまうのです。 胃がんの例を挙げると、 がん発生の初期は粘膜に留まっているがん細胞が、 大きく育つにつれて正常粘膜を弱らせ、 粘膜の下の組織まで深く侵食し、 さらに下の筋肉の層にまで入り込んで正常組織を破壊しながら病巣を拡大していきます。 これをがんの「浸潤」といいます。

がんは転移する

がんは周囲の組織を圧迫し、弱らせるだけではありません。 がん自らのがん細胞を血液やリンパ液の流れに乗せることで、 他の臓器まで飛び火させ(転移)、その臓器でまた増殖を繰り返します。 治療をせずにがんを放置すれば生命は確実に失われます。 しかし、 血液やリンパ管は全身に張りめぐらされています。 がんがある程度発育すると、がん細胞の一部が剥離し、 血液を介し(血行性)あるいはリンパ管を介して(リンパ行性) 全身に運ばれ、たどり着いた臓器でまた増殖を始めます。 また、がん細胞が胃壁や肺の胸膜を突き抜けて、 腹腔や胸腔、臓器のすきまなどに種をばらまくように飛び散り(播種)、 がん性腹膜炎やがん性胸膜炎を起こしたりします。
さらには、がん細胞が 種々の代謝産物(サイトカイン)として排出する毒素の中には、 「がん毒素」と呼ばれる毒素が含まれ、これが臓器や神経を傷めることもあります。 この毒素は「がん悪液質」と呼ばれ、 がんの末期に患者を苦しめ原因であることが解っています。

がんの環境要因はいろいろある

がんの罹患率、死亡率は年々増え、近年では日本人の死亡原因の第一位となってしまいました。 一方で、死亡原因となるがんの種類だけでなく、 発生するがんの種類も大きく変化しています。 その原因にはライフスタイル、生活労働環境、医療・保険上の変化などが考えられ、 また、人口の高齢化も関連性がある推論されています。 がんの直接的原因としては食品やタバコがもっとも重要で、 塩辛いもの、高脂肪質、アルコール類などもがん発症の原因であることは自明です。 また、肝がんではB型肝炎、C型肝炎のウイルスが元凶であることも判明しています。 胃がんの原因としては、ピロリ菌の存在も見逃せません。 また、がんを発症し易い体質の遺伝が注目されています。(特に保険会社が着目しています) この中でも大腸がんは他のがんよりも遺伝的な発症の傾向が強いとされています。 その他、大気汚染、食品添加物、放射線、紫外線、がんウイルスなど原因はいろいろあります。 がんを予防するためには、 単純にがんを誘発する"悪い"とされる原因をなるべく避けつつ 反対にがん予防に良いとされる生野菜、果物、食物繊維に富む食品、牛乳など、 発がん物質の生成を抑制するといわれる食品を多く摂取し、 バランスの取れた規則正しい生活を維持・継続することが大切です。
万が一、がんが発生した場合に備えて、 定期的にがん検診を受けていれば、早期にがんを見つけることができ、 治療も比較的容易に済ませることができることは肝に銘じるべきでしょう。