末期がんをあきらめない
腫瘍とは
癌=がん とは悪性腫瘍のことです。
一般に「がん」「癌」と呼ばれている病気は、
医学的な言葉では「悪性腫瘍」または「悪性新生物」と呼びます。
「腫瘍」とは腫れ物の意味で、「良性腫瘍」と「悪性腫瘍」に分けられます。
広義ではイボやポリープも腫瘍の一種と言えますが、 イボやポリープは大きく増殖した場合でさえも、別の臓器に転移したり、 組織の深部へ浸潤することによって、他の臓器にまで悪影響を及ぼす危険はありません。 そのため、生命を脅かすことは無いことで、良性腫瘍と呼ばれているのです。
癌(がん)とは
一方、悪性腫瘍は、体の一部の細胞が突然変異を起こすことで、
変異細胞が無秩序に増殖することで肥大化し、
周囲の臓器を圧迫して害を及ぼします。
悪性腫瘍は、良性の腫瘍とは違って、
増殖が急激でかつ無秩序で、正常組織や隣接する他の臓器までも浸潤します。
この悪性の腫瘍を、「がん=癌」と呼んでいます。
がんは近年は、日本人の死亡原因の第一位となっており、
医療機関、研究機関や製薬会社では
予防法、治療方法から治療機器まで絶え間ない努力が払われているところです。
不幸にもがんを患ってしまってさえも、
適切な治療を、適切な時期に、適切な施設で受けることで助かる可能性は向上しています。
がんをよく知ることで、自身の健康と生活を守れるのです。
最良のがん対策法
がん以外の感染症などの病気では、
大なり小なりの自覚症状が発熱、痛みなどとして現れるため、
これらの症状から迅速に病気の種類が診断できるのが普通です。
しかし、がんが発生/進行している場合にはこの現象が当てはまらないことが問題なのです。
がんは、初期段階では、症状はほぼ皆無で、かなり進行してしまった状態でも
明確な症状は現れないことが多いことを知らねばなりません。
がんの症状が現れてしまった時には、既にがんが進行して「末期がん」と診断され、
治療の手立ても無い手遅れという状態になってしまうことが多いのはこの特徴のためです。
これを解決する唯一の方法は、「検診」です。
多くのがんは設備の整った検診施設を備えた医療機関で検診を受けることで、
十分に対処が間に合う初期段階のがんとして発見できます。
だから、がんの定期検診、健康診断が重要であると繰り返し力説され、強く推奨されているのです。
がんの怖さ
がん細胞はDNAの複製に失敗した異常細胞ですが、
健康な人間でも毎日3000~5000個のがん細胞が体内で発生しています。
発生したがん細胞は通常は体内の免疫システムによって駆逐/排除されますが、
何らかの原因で排除しきれずにがん細胞が増殖してしまった場合に病気としてのがんが発症します。
がんは、まず最初に発生した臓器でがん細胞が増殖することで肥大化し、
周囲の組織を圧迫することで、働きを阻害します。
さらには、がん細胞の一部が血液やリンパ液の流れに乗って体内を移動することで、
他の臓器でがん細胞の増殖が始まります。これをがんの「転移」と呼んでいます。
がんは隣接する臓器だけでなく、離れた臓器にまで飛び火して、
そこでまた異常増殖を開始してしまうのです。
がんが転移するのは全身に張り巡らされている血管やリンパ管が原因です。
がんがある程度発育すると、がん細胞の一部が血管またはリンパ管を通じて全身に運ばれ、
離れた臓器に付着した後にその臓器でがん細胞の増殖が始まります。
がんを治療せずに放置した場合には、がんが全身に拡がり多臓器不全となり、
確実に生命を失うことになるのです。
しかし、適切な治療を実施することで、その危険は最小化もしくは消去できるのが現代医療です。
現代において、がんは治せる病気になりつつあり、今はその過渡期なのです。
前がん状態
がんと診断されることはできないが、 放置しておくと高い確率でがんになると予想される状態を「前がん状態」といいます。 舌の白板症、胃粘膜の腸上皮下生や大腸ポリープなどがそれです。 (胃潰瘍は胃がんの前がん状態とする説は今では懐疑的です)
「がん=腫瘍」は、発生する細胞の種類によって
「がん腫(上皮)」と「肉腫(非上皮)」に分けられます「がん=腫瘍」は、
発生する細胞の種類によって「がん腫(上皮)」と「肉腫(非上皮)」に分けられます
●ガン腫(上皮)
消化管や呼吸器粘膜、肝臓、腎臓などの臓器を構成する上皮細胞から発生する悪性腫瘍=がん。
ガン腫はさらに〝扁平上皮ガン〟〝腺ガン〟〝未分化ガン〟に分けられます。
●肉腫(非上皮)
・・・胃や腸の筋肉を構成している筋細胞や、骨、結合織、脈管組織、神経などを構成する線維細胞に発生する。
〝悪性リンパ腫〟〝白血病〟〝多発性骨髄腫〟は血液の悪性腫瘍=がん。
分類 | 細胞 | ガンが発生する場所 | |
ガン腫 | 扁平上皮ガン | 扁平上皮細胞 | 皮膚・食道・咽頭・口腔・上顎・肺・膣・子宮頚部・外陰など |
腺上皮ガン | 腺上皮細胞 | 胃・腸・肝臓・膵臓・胆嚢・腎臓・乳房・甲状腺・卵巣・子宮体部・前立腺など | |
未分化ガン | 細胞不明 | どこでも。特に甲状腺・肺 | |
肉腫 | 肉腫 | 筋細胞・線維細胞 | 骨・筋肉・軟部組織 |
悪性リンパ腫 | リンパ球 | リンパ節・脾臓・扁桃 | |
白血病 | 骨髄細胞・リンパ球 | 骨髄 | |
多発性骨髄腫 | 形質細胞 | 骨髄 |
がんの病期は、病巣の大きさや深さ、転移組織にどのくらい進入しているか、
転移しているか、手術が可能かどうかなどさまざまな要点から決定されます。
臓器ごとに病像が大きく違い、病期の決め方も異なります。
胃がんの場合であればまず粘膜に発生します。
数年粘膜にとどまっていますが、少しずつ大きくなり、やがて粘膜下層へと広がります。
ここまでが早期がんになります。
末期がんとは
「末期がん」とは一般的に保険適用が可能な病院での治療が施しようがないほど進行しているがんの状態の通称です。 がんが発生している部位によって程度は違うものの、がん細胞が深く浸潤している状態や、 遠隔転移してがんが複数個所に発生してい状態のがんを末期がんと呼びます。 末期がん患者に接する多くの医師は可能な限りの治療を施してくれるものの、 同時に余命の宣告を伴います。
末期がんとの付き合い方
がんの発見が遅れたことを嘆くのではなく、
今から何ができるかを考え、調べ、決断することです。
末期がんから生還する人は少なからずいることは光明であり、
自身がその幸運に恵まれるために何ができるかを考えます。
病院での治療に専念することが大切である一方で、
家族を自分に後悔を残さない治療を心掛けることです。
何もしなければ、時間は直ぐに流れて行ってしまいます。
今できることを、できる範囲で、必ず治すとの心掛けが末期がん克服の第一歩です。