肛門がん、末期癌をあきらめない
癌=がん とは悪性腫瘍のことです。
肛門がんは比較的めずらしいがんで、
わが国での発症者は直腸がん全体の約10パーセント(年間約3000人)です。
そのうち、粘膜にできる粘液がんと腺がんが全体の約75パーセント、
皮膚がんに属する扁平上皮がんが20パーセントです。
またごくまれに、皮膚がんの一種である悪性黒色腫(メラノーマ)、
乳房外パージェット病などのがんも発生します。
肛門がんはしばしば重い痔瘻(あな痔)から発生します。
この場合患者ががんを痔瘻と勘違いし、
痔の治療に時間を費やしている間にがんが進行してしますことが少なくありません。
肛門がんの多くはかなり進行してから発見されます。
その理由の多くは、症状が痔によく似ている点にあります。
しかし、注意してみれば、痔と肛門がんの違いもあります。
痔による出血は鮮やかな赤い色をしており、
血だけがぽたぽたと垂れたりほとばしったりして、便器のみずを赤く染めます。
しかし肛門がんの場合は赤黒い血がじわじわと分泌されることが多く、
知らない間に下着を汚したりします。痔瘻がんは病巣から特殊な分泌物が出ることがあり、
それによって判別できることもあります。
また、痔の痛みは排便時などに突き刺すように鋭く感じますが、
肛門がんは、強い痛みが一定の強度でずっと続く性質を持っています。
肛門がんが発生すると、肛門の周りにしこりが生じ、強い痛みを感じるようになって、
排便時に出血が起こります。
また、まれに排便困難が起こり、さらに排便後に残便感があったり、
肛門が狭まって便が細くなったりします。
これは、大腸の内側にできるポリープ(良性腫瘍)一部ががん化、
すなわち、悪性腫瘍へと発展し、腸壁の内部まで浸潤していくものです。
通常、ポリープが大きいほど、それががんに変わる確率が高くなります。
しかし、このタイプの大腸がんは比較的発見が容易です。
またポリープががんに変化する間でには何年もかかるため、
ポリープのうちに切除すればがんを予防することができます。